ビジネス書を手がける一般の出版社でも、昨今では企業出版をあつかう会社が増えています。今回は、企業出版・ブランディング出版・カスタム出版を取りあつかう出版社の中からそれぞれ数社をピックアップして、各社の特徴をご説明します。企業出版を始めるにあたって、ご参考にしてみてください。
企業価値を高めるのに大きく貢献するツールとして、注目を集めているのが「企業出版」です。「よし、わが社も」と思い立った中小企業の経営者や、広報担当の方も多いでしょう。とはいえ、書籍を制作するためにはどこから手を付けていいか分からないというのが、実情ではないでしょうか。そんな時には、プロの手を借りるのが一番です。
この記事の目次
企業出版を行う出版社
企業の直面する課題を、書籍の制作という切り口から解決する手法が企業出版です。企業が抱える課題は、ブランディングの向上、売上・集客の拡大、従業員エンゲージメントの改善、人材採用の支援と色々あります。企業の目的に沿った書籍の制作には、それなりに力量が問われます。これからご紹介するのは、いずれも企業出版においては豊富な実績とノウハウを持つ出版社です。
1-1 幻冬メディアコンサルティング
法人に向けたブランディング出版サービスに特化し、15年以上も企業出版を手がけています。あらゆる業界の商品・サービスを知らしめるための書籍を作り、その成果を上げています。多くの出版社が、作り手主導の「プロダクトアウト型」の制作手法を取っていますが、同社は、伝えたいターゲット読者の調査結果に基づいて、「マーケットイン型」で企画を立てています。
企業出版は、「本を作って終わり」では意味がありません。どのようにして、ターゲットに書籍を届けるか。その書籍を「知らしめ」、「売る」ことが重要になるのです。同社では、全国4,000店舗のチェーン書店と特約店契約を結び、効率よく書店に配本される体制をしいています。
1-2 ダイヤモンド社
ダイヤモンド社は、ビジネス・経済・経営関連を中心に書籍の制作・販売を行っている出版社です。創業は1913年で、106年の歴史を持つ老舗出版社です。
100年以上にわたってビジネス書を出版してきた実績をもとに、「信頼性」、「確実性」、「宣伝力」の3つの強みを持っています。
信頼性:創業100年の実績を背景に、ビジネス社会との深い結びつきがあります。同社を通して企業出版を行うことで、書籍に高い信頼性を付加することができるでしょう。
確実性:同社は多くの書店とのコネクションを持ち、出版した書籍をターゲット読者に確実に届ける販路を提供してくれます。
宣伝力:同社は書籍と同じく、「週刊ダイヤモンド」などの雑誌の発行や、「Diamond online」といったビジネス情報サイトを運営しています。書籍を出版すると、これらの自社媒体を介して宣伝してもらえるので、相乗効果を狙った展開が期待できます。
1-3 クロスメディア・コンサルティング
クロスメディア・コンサルティングは、2008年に企業向けのマーケティングサービス、出版を目的に設立されました。現在は、出版事業、マーケティング支援事業、コンサルティング事業、アクティブヘルス事業など、様々な事業を展開しています。
100万円から企業出版を手がけており、大手出版社とは一線をかくす低価格戦略で注目を集めています。低価格とはいえ、大手にも負けない企画力・編集力で、多くのクライアント企業の目的を達成してきました。
同社の強みとしては、低価格戦略のほかにも、企画・編集力、デザイン力の高さがあげられます。企画については、持ち込まれた内容をそのまま書籍にするのではなく、どうすれば課題解決に貢献できるかを考えてくれます。またデザイン、製本、用紙にいたるまで、こだわりのある提案を行います。また出版後には、出版記念のイベントやセミナーを無料で開催しています。本を作って終わりではなく、その後もコミットしてくれるのが同社の企業出版といえるでしょう。
ブランディング出版を行う出版社
次に、ブランディング出版をあつかう出版社をご紹介しましょう。
ブランディング出版は、企業のブランディングを目的とした出版形式です。企業出版の目的は、売上・集客のアップ、ブランディングの向上、採用支援などの経営課題の解決であり、ブランディング出版はその中のカテゴリーの一つとされています。
ブランディング出版をあつかう出版社は、以下の2社があげられます。
2-1 英治出版
企業側の意向をていねいにヒアリングして、制作に反映しています。内容やクオリティにおいて、一般的な書籍にも劣らない品質を保つため、企画ごとにプロジェクトを立ち上げて、取り組んでいます。出版社側の利益よりも、企業のブランディングの最大化を優先する姿勢は、評価を得ています。プロジェクトの目的に沿った内容、本の装丁やデザイン、広告展開や予算を考えて、企業のブランド構築を実現しています。
また費用面でも、他社と比べて30~50%程度と、リーズナブルな価格設定を行っています。さらに、本の売れ行きが好調で売上があがれば、出版コストの回収、利益獲得が見込めるブックファンドという出版も行っています。
2-2 東洋出版
1954年にドイツ語教科書の出版社として創業以来、全国3,000の書店や生協に販売網を張りめぐらしており、本を読者に届けることを最優先しています。企画・編集・制作・流通・販売力にいたるまで、トータルにブランド構築を支援できる強みを持っています。また、全国紙への新聞広告出稿や、動画を使用した電子書籍の制作・配信もサービスに含まれています。
カスタム出版を行う出版社
最後にカスタム出版を手がける出版社を、ご紹介しましょう。
カスタム出版は、企業出版とほぼ同じ意味合いで使われる名称です。カスタム出版の目的は、企業出版と同様、企業が直面する経営課題の解決です。ではなぜ、別名で呼ばれるのかといえば、制作するコンテンツをカスタマイズできるという点で区別されているのです。企業出版では、出版形態が書籍、パンフレット、社史、広報誌など多岐にわたります。カスタマイズ出版は、課題やターゲット読者に応じて、書籍をはじめ色々な選択肢を組み合わせることができるのです。
3-1 プレジデント社
40年以上にわたってカスタム出版ビジネスを手がけ、これまでに約100社以上の取引実績があります。一線で活躍する編集者やクリエーターが、企業側の意向に沿って質の高いコンテンツを作ります。「プレジデント」や「dancyu」など、数々のヒット雑誌を世に送り出しており、それらのテイストを企業出版にも活かしています。またWEBやSNSのようなデジタルメディアや出版記念セミナー、映像制作など、本を読者にアピールするクロスメディア展開が強みです。
3-2 日経BP社
「日経ビジネス」をはじめ、数々のビジネス誌や専門誌を手がけ、経営者や情報には敏感なビジネスパーソンを読者層に持っています。専門分野に精通した編集者がヒアリングし、企画やデザインなどの提案を行います。40以上の情報誌やWEBメディアの制作を通じて培ったノウハウを、カスタム出版にも活かしています。企画の提案から、制作・印刷・配送までをトータルで任せられるのがメリットです。
3-3 宣伝会議
1954年の創業以来、マーケティング・コミュニケーション分野に特化した専門誌を発行しています。マーケティング領域で高い実績を持つ同社では、専門の編集者やクリエーターが企業の目的に応じて企画を提案し、最適な形で読者に届けます。同社の持つネットワークを活かして、書籍の宣伝を行う点が強みです。企業のマーケティング責任者などのキーマンへの献本、同社が持つメディアでの告知、出版記念セミナーの開催など、あらゆる手段を使って本の周知を行っています。
3-4 世界文化社
「家庭画報」をはじめ、多くの雑誌や書籍を発行する総合出版社です。長年培った企画・編集力、人脈を駆使して、企業の魅力や強みを引き出して書籍に反映します。男女を問わず、あらゆる年齢層に向けた雑誌を手がける同社では、読者のネットワークを活用した本の告知にも力を入れています。読者イベントやデジタルメディアなどもからめて、書籍の宣伝を目的としたキャンペーン展開も行えます。また多言語出版を行った事績から、インバウンドおよびアウトバウンド需要に対応する書籍作りも可能です。
まとめ
企業のかかえる課題を、書籍の力で解決する企業出版。
目的に応じて書籍、広報誌、社史、販促ツールと、出版の形態も様々です。また、本を作成した後の販売・プロモーション展開も含めた、トータルでの戦略が必要です。
今回ご紹介した出版社は、専門分野や販売網、プロモーション展開など、それぞれに強みを持っています。自社の魅力を最大限に引き出し、課題解決のために協力してくれる出版社はどこか。十分に見極めて、企業出版を依頼してみてはいかがでしょう。